親父狩り・イン・アマゾン(アマゾン河:ブラジル)

Category: 謎3rd 南米編

2008.08.16(土)


 アマゾンの大河を船で越える。


 旅行者にとって憧れを抱かせる航路の一つに違いない。


 私もこれをブラジル旅行のハイライトの一つとして捉え、是非とものチャレンジを考えていた。


 航路の選定には熟考に熟考を重ねた結果、一番短い「マカパ」へ抜ける航路を選択することにする。

 今後の予定はギアナ3カ国だし、マナウスからベレンまで2週間近くの航路をとった旅行者から聞いた所「川幅は毎日変わりますけど景色は変化しないですよ」と聞いていたからだ。

 景色の変化が無く、ルート上にも無理なく組み込めるなら・・・

 「最短でいいじゃん」


 というのが選択の決定打だ。

 わざわざ2週間も船で苦労したくもないし・・・


 大事なのは「アマゾンを越えた」という実績だけだろう。楽に越したことは無い・・・


 なにはともあれ出航の14日、チケットを買った港に行くと「ここではない」といわれる。それは情報として知っていたがここから出発の港までフリートランスポートをしてもらえると以前ネットで同じルートでいった旅行者が書いていたのでそれを当てにしてここまで歩いてきたのだ。

 だが、実際にはそんなことはなくタクシーかバスで行けということだ・・・

 これがチケットをかったフェリー乗り場とその前の道路


 私はバスに乗り、出発する港へと向かう。

 到着は1630時、出航予定は1830時なので悪くは無い時間だ。

 乗り込んだフェリー


 乗り込み口は木の板を渡してあるだけというお粗末な物



 フェリーに乗りしばらく待たされた後ようやく私にキャビン(客室)が与えられる。

 ハンモックにゆられてというのがバックパッカー達のとる常套手段だが・・・

 船内につるされたハンモック




 私はツーリスト、エレガントを売りにする男だ。ここは客室の一手だろう。調べた情報によるとエアコン付と書いてあったから快適な筈だ・・・



 そして与えられた船室には・・・





 エアコンは無かった・・・



 「むぅ・・・・」



 1830時に出航予定の船はなかなか出発せず。


 空には暗雲が立ち込め・・・

 暗雲立ち込める空



 3食付と聞いていたが今日の夕食は有料、待っているのも疲れて仕方がなしに食べ

 初日の食事、2日目からは3食無料になったが朝はビスケットとコーヒー、昼夜はこんな感じだった。



 フェリーが出航したのは夜の2000時過ぎ・・・


 これから約36時間、2泊3日のアマゾンの旅が始まるのだ・・・




 明けて15日、昨日みた暗雲に不安を抱いていたが幸いなことに天気は良く、私はこれからのクルーズを存分に楽しめるはずだった・・・


 そう、あの忌わしい出来事さえなければ・・・



 恥を忍んで告白しよう・・・


 このプロフェッショナル・・・



 このアマゾンクルーズで・・・



 なんとあの有名な「親父狩り」にあう羽目になってしまったのである・・・



 日本語を正確に使うのなら狩られるのはこの私なので「美少年狩り」というのが本来適切な表現ではあるのだが、一般的な表現ではないのでここは親しみのある「親父狩り」という表現を使うと事にさせてもらおうか・・・




 朝、私が起きてのんびりと朝食を摂り、優雅にアマゾン河を眺めている時に・・・



 アマゾン河



 不意にあの極悪非道なやつらがやってきたのだ!!



 「し~ね~じ(中国人)」


 『んっ??』


 『はっ!はうあっ!!』


 ちなみにこの船に乗っているのは大体60人ぐらいであろうか、ただ東洋系の顔立ちをしているのはこのプロフェッショナル只一人である。こんなことからも私がターゲットにされたのだろうか??

 やつらは凶悪だった・・・


 つぶらな瞳と女性であることを武器に・・


 この私を散々嬲者にし始めたのだ!!


 まずは「質問攻め」から始まった。

 私がブラジルポルトガル語もフランス語も喋れず、英語だけだと説明しても彼女たちには何一つ関係無い、彼女たちの”好奇心”だけが全てに優先するのだ。


 ちなみにこの三人が最初の私に襲い掛かった主犯格。左の背の高いアレッサンドラが「親父狩り」のボスとなった。 



 私がうまく答えられなくても、優雅にアマゾンを眺めようとしても情け容赦なく攻めは続く。


 それならばと私は持っている「単眼鏡」を取り出したのだが・・・


 これがさらなる苛めを呼ぶこととなった・・・


 単眼鏡に食いついた彼女たちはさらに仲間を集めて集団で私を取り囲んで襲ってきたのだ!!

 一人が飛びつくと次々に他の仲間が「私にも(僕にも)見せてぇ~」と間断なく私に強要してくる。



 彼女の仲間の一員、私の持っているカメラにも食いつき「撮れ!この野郎!」と脅迫されて撮影した。



 何とか隙を見て撮影したアマゾン河

 意外に人が河沿いに住んでおり、中には小規模ながら町まである。
 


 そして小さな子供まで当たり前のようにカヌーを漕いでいる、生活の必需品だろう。





 私が彼らに疲れて、そして暇なのでと船内のパイプを利用して懸垂を始めると彼らはもうとまらなかった、一人一人私のところにきて「持ち上げて~」と強制し、私に持ち上げさせてパイプを掴まえさせて遊び始めたのだ・・・


 もう勘弁してほしいと涙ながらに訴えても彼らに聞く耳は無い。

 それに彼らは卑怯にも「俺は中国人で無く日本人だ」と言うと

 「ジャポネ~ジ」


 ときちんと言い直して、そして私がもう駄目になりそうな瞬間にこそ、子供の特権を生かして甘えたような顔でお願いという名の脅迫を続けるのだ・・・



 最短期間で優雅に抜けるはずのアマゾン・・・


 夕日の時間には私はすっかりと消耗しきってしまっていた・・・

 眺めた夕日



 そして最終日。朝日を眺めることが出来たのは幸運だったが・・・


 眺めた朝日。朝焼けから昇ったところ





 日が昇り、子供が起きると・・・私は彼らの狩りの餌食であった・・・


 明け方に眺めたアマゾン河



 これからの私の事など彼らにとってはお構い無しだ。
 彼らの好奇心の赴くまま、私に絡んでくる・・・

 「もう死にたい」


 と考え始めた1200時ころ・・・


 船はようやく到着地である「サンタアナ港(注:マカパ行のフェリーはマカパに直接到着せず、20kmぐらい離れたこの港が終着地となる)」に到着





 私を散々嬲者にしてきた凶悪な親父狩り集団は到着と同時にあたかも潮が引くように消え去り・・・


 私はようやく開放されることとなったのだ・・・




 これからギアナ3カ国へ向かう入口とも言えるこの地で・・・



 そこに残されたのは


 この「親父狩り」によって消耗させられきった自分の姿


 であったということは・・・



 このアマゾン河クルーズがいかに激しい冒険を伴っていたかを物語るものだろう・・・



 そして私はこう言いたい。



 アマゾン河・・・



 これに待ち受けた冒険は



 「自然との闘いではなく子供との闘い」


 であったに違いなかった



 と・・・






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